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 目次

(21)90歳の医師日野原重明さんの「生きかた上手」を読んで (02年8月12日)
(22)「密着片づけられない女の涙とADHD」を見て        (02年8月19日)
(23)平井堅の「大きな古時計」                    (02年9月 3日)
(24)宴のあと・おほむらさき祭を終えて                (02年10月 4日)
(25)日本人3年連続ノーベル化学賞受賞              (02年10月11日)  
(26)イワシの頭も信心から マイナスイオンの話          (02年11月3日)
(27)人間ドキュメント「生涯一エンジニア」田中耕一さんを見て (02年11月22日)
(28)新年を迎えて思うこと                      (03年1月 3日)
(29)誕生日っておめでたい?!                   (03年1月16日)
(30)「海馬・脳は疲れない」を読んで                (03年1月25日)

90歳の医師日野原重明さんの
 「生きかた上手」を読んで

 NHKのクローズアップ現代やTBSのニュースの森でも取り上げられた90
歳の医師日野原重明さんの「生きかた上手」を読んだ感想を書きます。

 日野原重明さんは、90歳を越えても聖路加国際病院の理事長としてまた
現役の医師として活躍しながら、たくさんの著書を書くなど精力的な活動を
されています。よど号乗っ取り事件では、その機内に搭乗していたという
これまたすごい経歴もおもちです。

 また、「成人病」という言葉を「習慣病」という言葉に変えたのも日野原
先生なのです。生き方は、「習慣」である。良い習慣を作ることが大切。
明日からではなく、今から実行するのです。

 前回、「癒しの時代」のところで触れた内容と重複するところもありました
が、なんと言っても90歳という年齢からくる膨大な経験とパワーを感じます。

 この本は、50歳代を読者とする雑誌のコラムをまとめたものなので、若い
方には実感がないこともあるかもしれませんが、「生き生きと生きるにはどう
したらよいのか?」という問いに答えのヒントを与えてくれる気がします。

 自分自身が生きているという実感はどこから来るのでしょう。失うことを
恐れるのではなく、誰かに与えることで喜びを感じることができます。誰かの
役に立っている実感が大切です。

 「癒しの時代」と同様に、今の医療についてのコメントがあります。検査の
数値に一喜一憂していることの無意味さ。何のための医療なのか。

 医師は、聞き上手。患者は話し上手にならなければならないそうです。
患者も、良い先生を捜す努力が必要です。「あれもやってはだめ、これも
やってはだめ」という制限ばかりの医師でなく、「ここまではやっていいよ」
という先生を選びたいものです。

 日野原先生は、音楽の力にも注目しています。患者さんの好きな音楽を
流すことで、本当に治癒することも多いのです。すごいことです。

 末期ガンの患者であっても今自分が生きているという実感を感じることが
できれば、「ありがとう」といって最後を迎えることができるのです。家族
から、患者さんを離して、延命措置をすることは、本人にとっても家族に
とっても幸せなことではありません。目が見えなくなっても、最後まで耳は
聞こえているそうです。最後の時に、家族の人たちが、「ありがとう」といっ
ているのは聞こえているそうです。そして、本人も「ありがとう」と言えなく
ても手を握り返すことで意志を伝えることができるのです。そんなお別れが
できたらいいなと思います。

 現代は「死」というものを現実的にあまり考えずに、殺人でさえゲーム
感覚。という気がします。身近に親戚などに死も経験できずにいる今の時代
だからこそ大人が「死」とは何かを子供たちに教えていかねばなりません。
そうすることでなぜ人を殺してはいけないのか。を考えることができるの
です。その問いには、答えはありません。ともに考えることが大切なのです。

 私は30代までは、自分のことだけ考えて突き進んでいた気がしますが、
40になり、子供まで授かってこれからのことを考えるようになりました。
じじくさい気もしますが、人生これからが長い。自分は何なのか。どう生きた
いのか。を考えることは、年齢に関係なく大切なことです。今の時代、刹那
的で今が良ければそれでいい。自分だけが良ければそれでいい。という
風潮がある気がします。どう生きるこことが大切なのか。考えていいのでは
ないでしょうか。

 そして、何歳になっても生き生きとしていられる人生でありたいものです。
そのためには、良い習慣を身につけること。難しそうですが、最後に
「ありがとう」といえる人生にしていきたいですね。

(02 8/12) 
 
「密着片づけられない女の涙とADHD」を見て

 先日、日本テレビのドキュメント’02「密着片づけられない女の涙とADHD」
という番組を見ての感想を書きます。

 ADHDとは「注意欠陥多動性障害」という神経性の障害で、小学校で問題
になっていることはみなさんご存じでしょう。授業中に走り回ったり、大きな声
を出したり、じっとしていられず怒るときれてしまいやすいという症状が有名で
す。年々増加傾向にあり、授業崩壊の一因になっているほどです。

 ところが、大人のADHDが存在することが分かってきました。自分に自覚が
無く、性格としてとらえられ直せないことで傷つくことが多いそうです。

 ADHDの特徴は、@片づけられないA時間・約束を守れないB物忘れが
多いC集中できないD落ち着きがないEすぐにきれやすい。などがあります。
医学的には、前頭葉がやや普通の人より小さく血行が悪いそうです。日本で
の研究はまだ始まったばかり。完全には治療できないものの、中枢神経刺
激剤「リタリン」などで前頭葉を刺激することで改善を目指します。

 取材されている44歳の女性の行動を、定点カメラで追った映像を見ると、
何かしようと考えて手に取ると、ほかのものが気になってしまう。そして、
それを取るとまた違うものが気になってしまい、どんどん部屋が散らかって
いく様子がよくわかりました。ほんとうにすごいです。

 4人の子供のお母さんである彼女は、お弁当をつくるのが間に合わない。
次に何をしようか整理できず、午前中にできるのはお弁当だけという日々が
続きます。公共料金の支払いも忘れてしまい、ガスを止められてしまったり、
PTAの会合も気がつくと終わっている。サークルもすっぽかしてしまい、
何か自信をつけたいと思って何かを始めても長続きせず自信を失ってしまう。
この繰り返しだったそうです。2年半前に離婚した元夫のかたのインタビュー
では、「性格だと思った」と証言しています。誰にも理解されず、自分自身は
苦しむだけという現実があります。

 そんな大人のADHDの組織があり、たびたび会合が行われているそうです。
その代表の女性もADHDの患者さんですが、みんな同じ悩みをもっているこ
とを認識することで、心の落ち着きを得ることができるといっていました。

 その彼女が医者の診断を受けることにしました。そして、ADHDであると
診断されます。その時の彼女の晴れ晴れした笑顔は印象的です。いままで
性格として考え、直せないことに思い悩んでいたことが、ある障害のため
だったことがわかったのです。

 治療薬を投与しながら、毎日の生活に取り組みだします。片づけられない、
時間が守れないという症状の改善はあまり見られませんが、前向きに生活
することができるようになっていきます。子供たちもそんなお母さんにエール
を送ります。

 子供の問題と思っていたら、大人のADHDが存在することがわかり驚きま
した。悩んでいる人も多いはずです。でもこの番組の女性のように自分が
ADHDであることを認識していくことで、前向きに生活することができること
もわかりました。まわりも性格としてではなく、障害のひとつとして認識して
つきあうことができればいいのですね。

 私も、落ち着きが無く、片づけられない方なのでいろいろ考えてしまう番組
でした。みなさんは、心当たりがありますか。

(02 8/19) 
平井堅の「大きな古時計」

 あのスタンダードナンバーの「大きな古時計」が、ヒットチャート1位です。
 甘い声と声量で自分の世界を作り出すアーティスト平井堅さんがなぜか
この名曲?を歌い、大ヒット。不思議です。小室哲哉軍団の疲れる曲のあと
は、モーニング娘。のアイドルサバイバル路線。そんな音楽業界でこの
「大きな古時計」のヒットは、何を意味しているのでしょう。島谷ひとみの
「亜麻色の髪の乙女」などの昔の曲のカバーがヒットするのも
今の曲に
疲れてきているのでしょうか。

 そんな話はさておき、この「大きな古時計」は私にとって因縁のある曲
なのです。まずは、高校1年の合唱祭。男子クラス(男女クラスもありました
が)で、美術クラスだった私のクラスが、自由曲として選んだのがこの
「大きな古時計」でした。
 クラスには誰一人ピアノを弾ける人もいません。男声四部の曲を選ばな
ければいけないのに、なぜか男声二部の曲。その時すでに合唱祭は
終わっていました。
 私たちのクラスは、健闘及ばず。男だけで頑張りましたが、会場からは
笑いを頂戴してしまいました。(涙)

 「大きな古時計」とは、直接関係ありませんが、「古時計」には、思い出が
あります。私の家には、私が生まれてからある「古時計」がありました。
(今も実家では現役選手として活躍しています。)

 古くなったので、倉庫にしまっていたところ、弟が家出してしまいました。
このことについては、他でも書きました。そして、弟が家出して2年半が
たったころ、母が何を思ったか。その古時計を引っ張り出してきました。
 そして、私にねじを回させて、台所におきました。懐かしい「ボーン、
ボーン」という鐘の音がまた、家のこだまするようになりました。

 そして、何日がたったでしょうか。母が「今日弟の夢をみた。電話番号も
聞いたのだけれど忘れてしまった。」といったまさにその日の夜に、弟は
家に帰ってきたのです。

 母親のすごさと、「古時計」のパワーを感じます。平井堅さんの
「大きな
古時計」のヒットで、私の中の何かが、またいのちを吹き返した気がしました。

(02 9/3)
宴のあと・おほむらさき祭を終えて

 2日間の文化祭が終わり、今年の学校行事がほとんど終わりました。
5月の球技大会から始まり、合唱祭夏休みを挟んで体育祭・文化祭と
怒濤のような行事の波にどっぷりとつかって忙しく活動していた日々も
もう通り過ぎ、ほっとしているものの寂しい気持ちになります。3年生は
高校生活のすべての行事が終わってしまったのです。

 この行事の間にも、私のもっとも大切な祭り、夏の大会・秋の大会
があり、本当にすべてが終わった今は疲れがどっと出ている状況です。
来年へのテンションをどうやってあげていくか。大変ですが、冷静にいろ
いろなことを考える時間も必要ですね。特にこの時代、高度成長の時の
ようにただ、がむしゃらに仕事する。家庭は顧みない。常に上昇志向。
ということは通用しない時代になりました。

 人間は祭り好きが多いと思います。この間祭りが嫌いという人に会い、
ショックを受けましたが、もちろんそういう人もいますね。でも好きな人の
方が多いでしょう。

 なぜ、人間は祭りが好きなのか。それは、やはり祭りの持つ非日常性
と1年に1度の行事を目指すことである種の目標ができること、村祭りな
どでは、やはり神や自然へのへの感謝を示すことで何かパワーがでてく
るのでしょう。

 府中の暗闇祭り、岸和田のだんじり、祇園祭に、三社祭、7年に一度の
諏訪の御柱祭、時に死人がでるほどの興奮です。文化祭でも高校生の
あふれるパワーはすごいです。どこにあのパワーがあるのか。それを発散
できる場が与えられることのすばらしさも感じました。行事が盛んでない
ところやクラブ活動が盛んでないところでは、このパワーを発散することは
できません。変なところへパワーをぶつけるしかないのです。

 スポーツは、戦争したがる・他人をけ落として一番を目指す人間のパワー
を違う形で使わせるようにしたことから始まっていると聞きます。

 祭りも同じなのでしょう。人間の持つパワーの発散場所。非日常的な
状況でしか現れないパワーを引き出す魔力を持っています。

 だから、祭りが終わるとどっと疲れます。宴の後は寂しいのです。人は
一瞬抜け殻になります。でもそれがいいのです。ある意味リセットされるの
です。数日たつと心機一転力がわいてきます。また、次の祭りを目指して。

 それにしても、文化祭での3年の活躍は感動ものでした。私は、教師生活
20年をこえてやっと担任のクラスが演劇をしました。21−20という僅差で
公演に決定し、演目もなかなか決まらない7月から考えるとなんと素晴ら
しい公演ができました。どのクラスも3年のパワーを見せつけてくれました。
感動をありがとう。こんなクラスの担任をさせてもらって本当に感謝してい
ます。やばい、また涙が出てきそうです。

(02 10/4) 
日本人3年連続ノーベル化学賞受賞

 株価暴落、景気の先行きが見えない。北朝鮮の拉致問題。次から次に
起こる訳のわからない事件など良いことがないこのごろの日本。
 その中で今年もノーベル賞を2人の日本人が受賞することになりました。
本当におめでたいことであり、日本の科学技術のレベルを示すことができた
快挙だと思います。

 10月8日には、物理学賞を東京大学名誉教授の小柴昌俊さんが受賞。
「天文物理学、特に宇宙ニュートリノの検出へのパイオニア的貢献」が受賞
理由です。宇宙から飛んできて地球を突き抜ける素粒子「ニュートリノ」を
とらえる手法を考案。ニュートリノ天文学という新しい分野を築いた方です。

 岐阜県の神岡鉱山の地下1000mに3000トンの水をたたえたタンク型の
素粒子観測装置「カミオカンデ」をつくり、高感度の光センサーで、ニュートリノ
が水野電子などに衝突したとき発生する弱い光を待ち続け、1987年ついに
12個のニュートリノをとらえたました。マゼラン星雲に超新星が現れた際に
放出されたものをとらえたのです。16万年かかって届いた小さなしかし大き
な贈り物だったのでしょう。世界中が競ってニュートリノをとらえよう
としていた
ため、極秘のうちに行われていました。情報戦だったのです。

 この観測で「星が最後に爆発して超新星ができる際、ニュートリノが放出され
る」という理論が裏付けられ、新しいニュートリノ天文学が始まったのです。

 名誉教授となり、76歳になっている小柴さんですが、教え子たちが受け継い
で大きな成果を収めたためだと言っています。好々爺の雰囲気のある小柴さん。
「私は、ビリで東大を卒業した。」「成績表は、人の人生を保証してはくれない。
学生時代から成績にとらわれてはだめだ。」などの語録もなかなか面白いで
すが、とらえることができるかわからない素粒子を観測するために巨大な装置
を反対を押し切ってもやり通す骨太な方なんだろうなと感じました。

 3年連続日本人がノーベル賞受賞のニュースがさめないうちに翌日の9日には
ノーベル化学賞を島津製作所勤務の田中耕一さんが受賞しました。湯川秀樹
さんの42歳に次ぐ、43歳での受賞。文部科学省もマスコミもそして本人も全く
ノーマークの受賞。衝撃的でした。「生体高分子の同定および構造解析のための
手法の開発」田中さんはそのなかの「質量分析法のための脱離イオン化法の
開発」が受賞理由です。

 分子の重さを表す分子量。水の分子量は18、ブドウ糖でも180。しかし、生体
高分子は、10000以上のものです。レーザー光線を当てることでイオン化させ、
重さの違いで分子の到達距離に差が出ることを利用して分子量を測定します。
 しかし、生体高分子にレーザーを当てると普通は分解してしまい、イオン化する
ことはできません。たまたま、金属コバルトの微粉末に間違ってグリセリンを落と
してしまったところ偶然にイオン化した分子が観測できたのだそうです。
 この研究により、無駄な反応をさせずに新薬を開発したり、細胞中のタンパク質
の機能など生命のプロセスを良く理解できるようになりました。

 田中さんは、東北大学の電気工学科卒、つまり化学関係の学科出身ではありま
せん。化学の常識にとらわれないで研究したことも良かったのかもしれません。
会社の中でも知らない人がいる研究を、共同研究者の外国の人が推薦したそう
です。日本が発信基地になかなかなれないのが残念ですが、見ている人は見て
いるんだなとも思いました。

 43歳という若さで、科学者としての最高の賞を受賞してしまってこれから大変
だろうなあと思います。ご本人はこれにとらわれずに今まで通りマイペースで
研究していきたいと語っていますが、まわりがそう扱ってくれないでしょう。
 でも、飲み会でもマイペースで研究の話しかしない田中さんだそうですから、
これからもすごい研究をしていくことでしょう。期待したいですね。

 いままでのノーベル賞を受賞した方を見ていると、やはりアンテナの張り方が
違いますね。同じ現象を見ても何も感じない人。わからない人もいれば世界が
驚く発見をする人もいる。やはり、知性と感性と気力と体力がないとすごいことは
できません。化学の端っこに携わるものとしてそんな生徒を育てられたら最高
だろうと思います。それには自分自身が、自分を磨かなくてはいけないんでしょう。
なかなか難しいです。

 ノーベル賞も、甲子園も遠い目標ですが少しでも近づけるように1日1日を大切
に頑張らなくてはと思いました。そして、好きなことを続け、「夢」を持ち続けて
いくことが大切なんだなと思いました。

(02 10/11)
イワシの頭も信心から マイナスイオンの話

 「イワシの頭も信心から」という言葉を知っていますか?広辞林によれば
「イワシの頭のようなくだらないものも信仰すればありがたくなる」というもの
です。これはありがたいとか良く効く薬だとか本当は大した効果がないのに
信じている人には本当に効いてしまうこともあるわけです。

 実際に薬は効果が絶大であればあるほど副作用も大きいのです。最終的
に病気を治すのは、人間の自然治癒力なのですからこれは効く薬だよと
いって効かない薬を処方していることもあるかもしれません。親戚の医者が
昔、キャベツが主成分の薬をさして「これは毒にも薬にもならないからいいん
だ]
と言っていました。気持ちの問題は大きいのです。

 このところ、話題になっているものに「マイナスイオン」なるものがあります。
「この空気清浄器は、マイナスイオンを発生し空気中の体に毒なプラスイオン
を減らし健康を保ちます」などというフレーズで商品を売っています。ありとあ
らゆる製品にマイナスイオンがついているのです。

 しかし、マイナスイオンとは何か。また、プラスイオンとは何かというとわかっ
ている人は少ないというか、ほとんどの人が何のことかわかっていないでし
ょう。健康に良いと言われて「イワシの頭も信心から」という状態になっている
気がします。「あるある大事典」というTV番組でも宣伝したため爆発的に商品
が売れたと言うのです。

 マイナスイオンとは、滝の水しぶきや森林に多くあると言われ、水の微粒子
の集まりと考えていいようです。プラスイオンは、空気中のホコリや微粒子の
ことをいうようです。つまり、空気中にホコリがたくさんあれば体にいいことは
ないわけですし、それを取り除けば健康になる。適度な湿度を保つことも大切
なことで別にイオンで説明する必要はないのです。

 つまり、体に悪いことはないとは思いますが、あれだけ宣伝して商品を売る
ことが本当によいことなのかはわかりません。
高いお金を払って買う必要が
あるのかは疑問です。
マイナスイオンに始まって今度はマイナス静電気を
売り物にする商品もでてきました。布団を何十万円も払って買ってしまった人
もいるようです。

 皆さんの中にもいたらこんな事を書いたら怒られるかもしれません。実は、
「マイナスイオン」は存在しないとかこの商品は全く効果がないというのは
難しいことなのだそうです。はっきり言って「言ったもの勝ち」のところがある
のです。でも全く効果のないものを絶大なる効果があるようにいうのは明ら
かに間違っている気がします。皆さんは、どう思いますか?

 
マイナスイオンの話に興味を持った方は次のHPにアクセスしてください。

  機能性イオン協会のHP(賛成側)
   http://www.japan-ion.jp/
  マイナスイオンなどの環境に関する安井至教授のHP(反対側)
   http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/
   マイナスイオンについては、2001年版にあります。

 (02 11/3)  
人間ドキュメント「生涯一エンジニア」を見て

 11月21日のNHK人間ドキュメント「生涯一エンジニア」はノーベル賞受賞の
田中耕一さんにスポットを当てた番組でした。田中さんの人柄から「癒し系」と
言われていますが、その生い立ちには秘密がありました。驚きました。

 富山市で育ち、東北大学を経て、島津製作所に入社。88年、89年当時に
開発したタンパク質の質量分析の成功がノーベル賞受賞に結びつきました。
もともと化学系ではなかった田中さんが化学賞受賞とは面白いですが、どんな
環境にあっても最大限の努力をすることが成功へつながるんだなと思いました。

 一躍時の人となった田中さんには、プライバシーはなくなりました。通勤に
路面電車は使えません。定期券も残っているのに今はタクシー通勤。どこへ
いってもみんなの視線を集めてしまいます。はやく電車で通勤したいと思って
いるようです。

 さて、田中さんは、のこぎり職人の四男として育てられましたが、実は母親が
田中さんを産んですぐになくなってしまったため、おば夫婦に預けられ四男として
育てられたのです。のこぎり職人の父親の姿を見て、技術のすばらしさを感じな
がら、何も知らない田中少年は、あたたかい家庭の中ですくすくと育ちました。
小学生時代の担任の先生が化学科出身の先生だったこともあり将来はエンジニ
アを目指したいと思っていたようです。そして、作文には「どんなに便利な世の中
になっても、自分の頭で考え、自分の足で歩き、自分の手で作る事が大切だ。」
と書いています。田中さんの研究の原点なのですね。

 その田中少年が、大学入学のため東北大に行くときに戸籍をとらなくてはいけ
ない事になりました。その前に、母親から事実を聞かされました。相当のショック
だったと思います。想像もできません。いま、北朝鮮から拉致された方々が帰国
していますが、彼らの子供たちは全く事実を知らないわけです。20年間知らなか
った事がわかったときどんな気持ちになるか。その事実を受け入れられるか。
全く考えることもできません。想像を絶する事だと思います。

 その後、大学でも何もする気も起こらず留年までしてしまいます。しかし、人間
はとどまっていることはできないのです。田中さんは、何とかすべての事実を
受け止めたうえでそれを吹っ切ることができたのです。この「吹っ切る」ことが
必要なときもありますね。しかし、やはりある程度の時間は必要です。時間が
解決するまたは時間しか解決できないものも世の中たくさんありますね。

 実の子と分け隔て無く育ててくれた両親に感謝し前へ進んだ田中さんは、島津
製作所に就職。自分の思っている研究ではなかったようですが違う研究の中にも
人のために役立つ研究をしたいという意志でついにタンパク質の質量分析方法を
開発しました。レーザーを当てると分解してしまうタンパク質を保護する試薬を探す
なか、間違えてグリセンリンとコバルトの粉末を混ぜてしまいました。2年前のノー
ベル受賞の白川先生もそうですが、失敗したときにも何かがあるかもしれないと
チャレンジしてみる姿勢がありました。データをとったところ見事に保護剤になって
いたのです。そして、その研究でノーベル賞。すごいことです。そのときの特許料は
社内で1万円。今回のノーベル賞受賞で1000万円の報奨金がでたそうです。

 ノーベル賞受賞で役員待遇の提案があったのに、主任だった田中さんは固辞し、
2階級昇級で、研究を続けられる役職に就きました。背広より作業服でいる方が
自分らしいといっています。受賞におごることなくマイペースを守ることができる
田中さんをまた偉大な人だなあと感じました。

 「生涯一エンジニア」をぜひ貫いてこれからも良い研究を続けて 社会に貢献して
欲しいと思います。化学系の人間の端くれとしてエールを送ります。いつになったら
普通の生活に戻れるのでしょうか。でもこれまた、時間がかかりそうですね。

(02 11/22)
新年を迎えて思うこと

 新年明けましておめでとうございます。今年もきたさんチャンネル「きたさんの
ひとこと」をよろしくお願いします。

 さて、昨年は小泉首相の人気も失せ、景気はさらに悪化。国際情勢ではアメリカ
がやりたい放題。イラクへの侵攻も時間の問題のようです。日本と北朝鮮の関係も
非常に厳しくなってきました。拉致被害者の残してきた家族との対面はいつのこと
になるのか全くわかりません。

 明るい希望が見えない状況ですが、今年は「和」を尊ぶ姿勢が大切だということ
です。聖徳太子の十七条憲法の第1条にあることです。高度成長のころのように
他人をけ落としてでも成り上がる・もうけるなどという時代ではありません。もっと
落ち着いてみんなとの「和」を考えながら生活していきたいと思います。

 何かがあれば、「すべては自分」と考え、「まずはひとさま」という気持ちでいろ
いろなことに対処していく姿勢は、昔日本が持っていたはずです。多少仏教的かも
しれませんが、ぎすぎすしたこの世の中。まずは自分から変えてみることも大切な
気がします。
例えば「あいさつをしっかりする」ということから始めても人間関係が
変わってくるはずです。「一年の計は元旦にあり」といいますが、今年の目標を
決めて取り組んでいきましょう。

 学校関係でも、管理が厳しくなり息苦しい状況はさらに加速されそうです。
教師
が自分自身を律することができていない部分もあるかもしれませんが、あまりに
異常なお役人の考え方にはあきれます。教師にゆとりが無くて良い教育ができる
はずがありません。その状況の中でもやらなければなりません。つらいですが、
頑張ります。

 さて、昔お正月といえば、やっているお店はまったくなくシーンと静まりかえった
町並みは「お正月だ!」という気分でした。31日までに必要なものを購入できて
いないと大変でした。今でも31日になると町はあわただしくなります。面白い
ですね。31日までは変わらない気がしますが、年が明けてからが激変しました。

 まずは、コンビニの出現。これでどこかの店はやっているという状況ができました。
そして、スーパーやデパートがいつしか「禁断の木の実」を食べてしまったのです。
2日から開店と思えば、今や元旦から開店。これではお正月ではありません。
店員さんも休めません。元旦から働いてどうするのでしょう。家でゆっくりすると
いうのもお正月の過ごし方のような気がします。でももう絶対に戻れません。
この状況を受け止めながらお正月の雰囲気だけは残していきたいです。
あのお正月の不便さとすがすがしさ。若い人は知らないんだろうな。

 皆さんは、どのようにお正月を過ごしますか?

(03 1/3) 
誕生日っておめでたい?

 昨日めでたく誕生日を迎えました。
 もうおめでたい年ではないのですがこのところみんなに祝ってもらえることが
少なくなっていたので家族や生徒たちに「おめでとう」といわれると素直に
嬉しく感じました。

 人間は、人生のうちに誰でも三度だけ主役になれるといいます。
 生まれたとき・結婚したとき・死んだとき・この3度は誰のでも与えられた主役の
チャンス。ここ数年パラサイト・シングルなどという言葉がはびこっています。
実家に住んでいると3食でてきて選択もしてくれる母親という存在がいて何の
不自由も感じないまま年をとっていくという人種をいいます。

 結婚しない(できない)男は、40代で6人に1人になりました。これからもっと
増えていくでしょう。煩わしさの増える結婚の魅力がなくなっています。昔から
思いこみと勢いがないと結婚はできないと言われていますが、さらに結婚しない
(できない)男は増えていくでしょう。でも1回は結婚してみるのもいいですよ。
今は昔と違いやり直しがききます。バツイチというのも公認されています。

 生まれたときは自分の意識はありません。死んだときもありません。結婚は
1回から数回止まりです。となるとやはり誕生日は、大切になります。
 長くいきれば生きるほど祝ってもらえます。60歳は還暦。70歳は古希。
77歳は喜寿。80歳は傘寿。88歳は米寿。90歳は卒寿。99歳は白寿です。
元気に長生きしたいですね。

 小学校の頃は、自分の誕生日に親しい友人を招いて誕生会を開きました。
招待状を渡して「プレゼントはいりません。」と書きます。でもみんな持ってきます。
招待状をもらうかもらわないかは結構大変な問題でした。自分の誕生日にみんなを
招いて祝ってもらうのが、実は基本なのかもしれません。

 私の大学時代の研究室は、自分の誕生日になると研究室のメンバー分の
ケーキを自分で買ってきてみんなに祝ってもらう儀式がありました。ばかばかしいな
と思っていましたが今となっては大切なことだった気がします。

 誕生日が祝日になってしまう人たちがいます。明治天皇の誕生日は天長節と
いわれていました。今の文化の日11月3日です。昭和天皇の誕生日4月29日は
いまやみどりの日になっています。私の弟の誕生日でもあります。そして、今上天皇
の誕生日は12月23日。すべて祝日です。誕生日といえばイエス・キリストですね。
12月25日が誕生日とされています。世界中に広がったみんなにお祝いされる
誕生日です。お釈迦様の誕生日は4月8日ではなまつりといいますが、あまり
ポピュラーではありませんね。ちょっと残念です。

 人間いや生命の誕生は、本当に神秘的です。この世に生を受けるということは
素晴らしいことです。なかなか子供を授からなかった私にはこの感覚は本当です。
生まれてきたからには、その人は世の中に対して何か必要だから生まれてきた
のです。人間は3歳までで親孝行をしてしますといいます。子育ては大変ですが、
子供の成長を目の当たりにすると「生まれてきてくれてありがとう」といってしまい
たくなります。あの雅子さまも言ってしまうほどなのです。

 結論ではないですが何歳になってもやはり誕生日はおめでたいのです。
自分がこの世に生を受けた記念日です。まわりの方にたくさん振る舞っても
祝ってもらうべき日だと思います。皆さんはどう思いますか?

 健康で元気にいつまでも誕生日を祝ってもらえる自分でいたいなと思いました。

 Happy Birthday!!

(03 1/16)   
「海馬・脳は疲れない」を読んで

 コピーライターの糸井重里さんと脳の研究者で東大薬学部助手の池谷裕二さんの
対談形式の本「海馬・脳は疲れない」を読んで感じたことを書きます。

 40歳を過ぎ、体力的にも衰えを感じるようになり、物忘れが増加しやはり老化かな
と思っていたときに朝日新聞の一面のしたに広告を発見。「脳は疲れない」という語に
興味を覚え読んでみたいと思いました。「海馬」については昔、NHKスペシャルで
「脳と心」というのがあり、記憶に関して非常に大きな役割を果たしていることは知って
いましたが、どんな内容なのかなと読み始めてみるとびっくり。人生観が変わるほど
のインパクトがありました。下手な人生相談より力がわいてくる感じです。頭がよいと
いうことはどんなことか。頭が良くなると幸せになれるのか。どう生きていくのかという
ことのヒントがあります。

 第1章は脳の導火線という話。実は脳は30歳を過ぎてから発達するのだそうです。
20代までは、知識をためる時期、暗記メモリーは得意ですが、30代からは、その
情報をつなげていくことができるようになります。単純など忘れは、情報量が多いこと
からくることでしようがないことなのだそうです。ただし、30歳からは暗記メモリーは
弱くなります。ですから、経験メモリーを増やしていくこと。実際に書いたり、しゃべっ
たりすると頭がよく働きます。とにかく脳は疲れないのです。疲れたと感じるのは目
なのです。この章では脳の「可塑性」つまり元に戻らない性質。についても述べられ
ています。

 第2章ではどうしたら頭が良くなるかが語られています。脳はまずとてつもない速度
で発達します。2の何乗というように指数関数的に発達します。人間が人を「頭がよい」
「頭が悪い」と判断するのと「あの人が好き」「嫌い」というのとほぼ同じらしいのです。
 人の好き嫌いは、「扁桃体」というところで決めています。海馬は記憶をつかさどって
いるのです。好きなことは、良く覚えられます。子供たちがポケモンの名前をたくさん
覚えられるのも好きだからです。受験生はこれを覚えれば楽しい生活が待っていると
自分で思いこんで勉強するのです。
 ただし、脳は安定性を求めるものです。つまりさぼりやすいのです。例えば、盲点と
いうのがあります。自分の盲点を見つける方法も書いてあります。見えないところに
脳が勝手に線を引いたりします。実に面白いです。とにかく、ボーっとしていてはだめ
で、常に周囲にアンテナを張り巡らせることが大切だそうです。
 もともと同時に脳の処理できるのは7つぐらいです。忘れられるから次に進めるの
です。脳はうそをついたりさぼったりします。それにチャレンジしていかなければなりま
せん。「かわいい子には旅をさせろ」といいますが、脳の発達には旅は有効なのです。
悩みだって自分だといろいろ悩みますが、客観的に見たらどうだろうと視点を変えると
案外たいしたことがなかったりします。でもそれができたら悩まないんですが。

 第3章では、脳に効く薬について語られています。イチョウや中国のブクリョウという
漢方薬が効くのですが大量に摂取する必要がありますし、副作用も心配。今のところ
朝鮮人参が有効だそうです。海馬を発達させてみましょう。逆に風邪薬や鼻炎の薬は
頭の働きを悪くします。気をつけましょう。
 やる気を出すにはどうしたらいいかも書いてあります。やる気は「側座核」というところ
が起こしています。やる気がでなくてもとにかくやり始めないといけません。案外やり
始めると気合いが入ることってありますよね。
 寝ることも大切。寝ることで起きているときの情報が整理されます。夢もそんな作業の
一種なのです。寝なければいけないのです。
 そして、失恋や失敗の経験が多いほど・生命の危険が迫るほど頭が良くなります。
ですから少し寒いぐらい・おなかいっぱいでない状態のほうが頭が活動するのです。
脳とは関係ありませんが、Jリーグの試合でも優勝を争う試合以上にJ2降格を争う
試合の方がいい試合になるというのも面白い。最初からそのテンションでやっていたら
そんな試合をしなくてもいいはずなのですが。

 そして、最終章の第4章になります。脳の発達・海馬を増やすには情報を受け取る
「受け手」が鍵を握っています。受け手が良ければコミュニケーションの能力が
飛躍的にアップします。人間は脳の2%ぐらいしか使っていないそうです。老化して
脳細胞が破壊していっても全部が壊れることはなく、脳の能力は何歳になっても
アップできるのだと信じることができれば人生変わってきそうですね。
 問題を解決するにも、遠くにある目標だけでは到達することは難しいものです。
たくさんの課題があった場合でも問題を一つずつ解決していくことで道が開けて
きます。
 ただし、脳はさぼりやすいので、「私の人生こんなもの」とか「私は頭が悪いから」
などと言葉に出してしまうと、脳は本当にそう思ってしまい可能性をのばせなくなって
しまいます。昔から「言霊(ことだま)」といいますね。「私はやれるんだ」「よくなる
んだ」と思えれば、人生が変わってくるはずです。そんなことを感じさせてくれる本
でした。

 皆さんもぜひ読んでみてください。頭を良くしてよい人生を歩んでいこうじゃありま
せんか。なお、「海馬・脳は疲れない」は朝日出版社から発売されています。定価
1700円です。

(03 1/25)

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