きたさん紀行   金沢編
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(星稜高校編)

 
ヤンキースの松井秀喜選手の母校といえば金沢の星稜
高校。あまりにも有名な甲子園での明徳義塾戦の5打席
5敬遠だ。
 その松井選手を育てた監督としてことあるごとにマスコミ
に取材を受けるのが恩師山下智茂監督である。
 私は、1991年松井選手が2年生の夏、甲子園の準々
決勝で星稜高校を見た。そのとき試合前ノックでとてつも
ないノックを打つ山下監督に一目惚れし、いつかあって
お話がしたい。あんなノックを打てるようになりたいと思い
ながらそれを実現できないでいた。今回ふとしたきっかけ
で金沢へいく機会ができ、それならばぜひお会いしたいと
電話をかけた。星稜高校といえば山下監督、山下監督と
いえば星稜だ。箕島高校との延長18回の死闘や、元中日
のエース小松投手を擁してベスト4、山本省吾投手を擁し
て甲子園準優勝など甲子園出場24回を数える名監督で
ある。
 そんな大監督に、無名都立高校の一教諭が電話して
あっていただけるとは思ってもいなかったのだが、自分の
思いの丈を手紙に書き、金沢へ行く数日前にあっていた
だけるお約束をした。当日は星稜高校の卒業式の前日に
当たり大変お忙しい中だったが、快く会っていただけた。
お会いするまで実は山下監督が学園の理事であり、副校
長という肩書きを持つ方だということを存じ上げなかった。
まったくあきれるばかりの無礼な訪問者である。
 私が、星稜高校を訪れたその日の朝、ヤンキース
の松井選手が、アメリカに行って初めてホームランを
打ち盛り上がっていた。上の写真は副校長室に飾ら
れた松井選手のバット・グローブなどである。お話を
うかがっている間もマスコミからの電話が鳴りっぱな
しだった。57歳の今でも毎日グランドでノックをする。
毎日ジムにいって自分を鍛える。書籍代は月5万円。
なんという読書量だろう。地元の生徒だけで甲子園に
行くことが大切と寮などは存在しない。素晴らしい考え
方だ。
 いろいろとお話をしたあと、グランドを案内していた
だいた。その前になんとグランドのすぐ近くにある先生
のご自宅にお邪魔させていただいた。
 久保田名人の作った特注のノックバット。7分間の
試合前ノックで140発の速射砲だ。すごい!そこま
でこだわらないといけないのだろう。
 玄関には阿久悠さんの詩が額に飾られていたり、
2階の特別室には長嶋茂雄さんのユニフォームや
ミッキー・マントルのグローブなど野球ファンならのど
から手が出るような貴重な品が飾られている。地元
の子供達にも開放していて夢を与えたいと思って
いるそうだ。
 松井選手が現役高校生の頃、フェンスを越えた
打球が何度もご自宅の屋根や窓を直撃し、雨漏り
した話を楽しそうに話されていた。
 グランドは、冬季のため使われてはいなかったが、
良く整備されていることは見ただけでもわかる。
部員が石拾い・草むしりをしっかりやっている。
トイレ掃除は上級生の仕事だ。
 
 星稜高校野球部では、卒業式前日にOB会入会式が
行われる。その会にも参加させていただくことができた。
 初めて甲子園に出場したときの主将。箕島高校との
延長18回の死闘を繰り広げた時の主将などすごい
方々が出席されていて緊張した。
 OB会長のあいさつから始まった入会式で山下監督
が延長18回を戦った時のマネージャーだった谷村さん
の後輩への手紙を披露した。箕島高校に敗れたために
甲子園でノックすることができず、そのことがきっかけで
教師を目指し、甲子園でノックすることを目標に県立
高校の監督として頑張っている谷村さんの手紙は感動
的だった。
 OB会入会式では、3年生がひとことずつ話をして、
記念品を受け取る。その中に3年前に会ったことがある
子に再会した。調布北の説明会に来ていた沢田君。
ケガなどに苦しみながらも3年間頑張った様子がわか
り嬉しかった。
 全員で、校歌を歌ってお開き。貴重な体験だった。
 OB会のあとも、山下監督、本田部長、林コーチそして
星稜中田中監督と、遅くまでいろいろなお話を伺うこと
ができた。監督をサポートするスタッフのご苦労と重要
性が理解できた。また、甲子園に行くためには、指導者
・生徒・保護者の連携が大切であることがわかった。
 
 星稜高校が、松井の明徳義塾に5打席5敬遠で敗退したあと星稜高校
を取材していたテレビを見たとき、上の部訓を放映していた。とても印象
に残った。今回お邪魔した副校長室にも飾られていた。
 「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。
  習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」
 室内練習場には、この他にもいろいろな言葉が壁にたくさん掲示されて
いた。どれも大切な言葉だ。
 室内練習場は人工芝。ブルペンの土は甲子園と同じ土。3カ所で打撃
練習。マシン・緩い球・投手と3種類。まわりではティーバッティングをして
いた。ビニールテープを巻いたボールが使われていて少しほっとした。
 2階には、トレーニング室があった。練習はインターバルのランニングと
ストレッチで終了。そのあとは練習場のゴミ拾いだ。グランドに感謝だ。
 山下監督を囲んでのミーティング。延長18回の時
の谷村マネージャーの手紙を選手が読み上げた。
 各選手は、各自メモ帳を持っている。毎日の練習
日誌を提出することもあるが、自分がこれと思った
ことや気になったことなどをメモする習慣は大切だ。
 私との会話の中でも山下監督や林コーチがメモを
とっているのにはびっくりした。頭が下がる思いだ。
 グランドや指導者に感謝の礼で練習が終わった。
 今回、星稜高校を訪れ、山下監督や本田部長、
林コーチと長い時間おつきあいいただいた。
 本当にありがとうございました。
 この貴重な経験を生かし、いつか星稜高校と
甲子園で対戦できるように今からさらに頑張ろうと
心に誓った。
きたさん紀行
調布北高野球部
山下監督の記事が出ました。見て下さい
優秀な指導者として表彰されました。