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 昨年から12月第2日曜日になった高校野球
研究会。今年で第23回目を迎えた。
 今年の講師は、夏の甲子園で優勝した佐賀北
高校監督の百崎敏克先生。あまりにもタイムリーで
みんなが聞きたい講演会のため、いつもは机が
あるのだが、今年は椅子だけにして150名を越える
高校野球関係者が集まった。
 どんな講演となるか楽しみだ。
 そして、講演が始まった。
 淡々とした語り口。あまりにも淡々と
していた。しかし、お話しが進むに連れて
ぐいぐいと引き込まれていった。
 優勝してもおごらず負けても動じない
しっかりとした芯のある雰囲気はさすが
優勝監督だ。
 まずは、甲子園での戦いについての
お話しだ。なんと言っても開幕戦に始まり
延長15回再試合、ナイターゲーム。
王者帝京高校との延長戦。そして、
決勝戦での逆転満塁本塁打。初日から
最後の日まで戦っている。なんと73
イニングを戦い抜いた。練習の3分の1は
体力トレーニング。体力がなければ勝ち
抜けない。「鬼になってやらせます。」と
いう言葉がそのすごさを想像させる。
 どこかの高校とかなり似ている。
きたさん紀行
 まず、百崎先生の紹介から始まった。
佐賀北高校は母校。主将として準決勝まで
進出したが甲子園は出場していない。
 大学では野球をやらず、国語教師として
農業高校へ赴任。引き受け手がいないので
監督就任。負け続ける中少ない人数での
練習法などを考えた。
 次の佐賀東では、いい選手もいたが結果が
でなかった。部長となって監督をやめ、選手の
せいにしていたら、新しく監督になった方が
何と甲子園に出場。部長として甲子園を経験。
この経験が大きかったようだ。
 そして、次の神埼高校では部員数13人から
始まったが2001年に春夏甲子園に出場。
夏には2回目の出場の城東高校に勝った。
 その後、次の学校では部長となり2004年
から母校に戻り監督に就任。3年で全国制覇
を達成した。

 
 決勝戦の8回の場面も講演後の質疑応答
と合わせるとどんな状況だったのがわかった。
 平常通りとは何か。準備の大切さ。練習と
試合の違いなど興味深い内容満載だった。
 そのあとは、ご自分の野球歴についての
お話し。決して、順風満帆ではない。
 しっかりした人間にさせるのが高校野球の
使命考えている。そのなかで「こんな子に育
てたい」と思っていた真面目な選手が自ら命を
経ったという衝撃的な経験もされている。
 反発する子はやる気がある。その子を無視
することなく接していく。
 野球だけうまければいいのではなく目配り
気配りできる子を育てる。例えば、グランド整
備も先輩・後輩の区別がない。上級生に対して
は「下級生にやらせていいのか」といい、
下級生には「先輩にやらせていいのか」という。
矛盾しているようだが自らすすんでやるべきことを
見つけ出せる選手に育てる。メンバーも2名を
除いて選手たちの投票で決める。
 試験前の土曜日曜には学校での勉強会。
野球日誌の交換。生徒とのコミュニケーションを
大切にする。
 真の意味での平常心、いつも通りとは何か?
約2時間の講演だったが本当に興味深く、淡々と
した中、非常に熱い思いを感じることができた。
 
 
 司会は、いつものS先生。
毎年司会を担当している。
 慣れているはずだが今年は
さすがに緊張気味だった。
 講演のあと質疑応答があり
練習方法や試合についての
質問にも的確に答えられる。
 中でも印象に残ったのは
近年選手・生徒が「指示待ち族」
になっているのではという質問
に対して、「まったく変わって
いないと思います。生徒には
教えてやらなくてはいけない。
それは教師・監督の仕事です。」
ときっぱり答えられていた。
 重い言葉だった。うまくいか
ないと生徒のせいにしたり人の
せいにしがちだ。愚痴を言って
いる暇があったら、行動するべ
きなのだ。
 そして、自己紹介の時間。全員が終わるには30分以上
かかる。今年はさらに人数が多く時間がかかったが、貴重な時間だ。
若い先生も本当に多くなった。野球界も捨てたものではない。
 これだけ大きな会にした労力は大変なものだと思う。
幹事の方のご苦労に感謝したい。
 講演会のあとは、恒例の忘年会。居酒屋を貸し切り状態にするほどの
盛況だった。昨年はあごの骨折で参加できなかったが今年は参加できて
いろいろな監督さんと話すことができて有意義な時間となった。
 さらに2次会へくり出す先生方も多かったが、若手の先生と場所を変えて
終電近くまで野球談義をしていた。
 みんな野球が本当に好きな人たちだ。野球は本当にすごい。
 来年も良い年であることを祈りたい。
 甲子園を目指してお互い頑張りましょう!
高校野球研究会 2007