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 今年から12月第2日曜日になった高校野球
研究会。今年で第22回目を迎えた。
 今年の講師は、開成高校の青木秀憲先生。
東京大学野球部出身。打つチームでベスト16
にも進出させた指導者だ。恵まれない環境で
最大の成果を出す指導法は何か。
 北高にも参考になる話が聞けるだろう。
 この環境の中で成果を上げるために青木先生はポイントを絞って
指導している。練習の様子はビデオ上映もされた。
 まず、はじめは点を取ること。つまり打撃中心。グランドを使える日は
ひたすら打撃。外野を越える打球がロングティーなどで打てないと
フリーバッティングに参加できない。敷地内のあらゆるスペースで
野球部は練習している。空振りを恐れず全力で振ること!そのために
は体を鍛える。体を大きくする。鍛え方は自主性に任せる。
 次に、投手はストライクが取れることを第一にする。複数の投手が
いる場合、悪い投手から使っていく。
 少ない時間で最大限の効果を上げるための3つ目は、キャッチボール
を大切にすること。5分のキャッチボールでも何かできるはずという発想。
 そして、4つめは試合では「気合い」「根性」が大切。これで負けていて
は勝てるわけがない。
 ほとんどの相手が自分より力が上の場合、ハイリスク・ハイリターンで
いかなければならない。
 
 この発想は、青木先生の大学時代の経験が大きく影響している。
高校は群馬県太田高校。監督は私たちの頃の甲子園のスターである
桐生高校の阿久沢さん、スラッガーでありながら六大学にもプロにも
行かず教員になった人だ。自分の打撃にもかかわらず作戦は守って
勝つ。青木さんは3年間バントだけを練習して自分の居場所を見つけた。
 しかし、東京大学に行って、平野裕一さんが監督をしていたのだが
練習は打撃練習のみ。バントには自信があった青木さんは違和感を
覚えた。しかし、どうしてそうしなくてはいけないのかが分かった。
 東京六大学の他の大学の選手は甲子園で活躍した選手ばかり、
普通のことをやっていては勝てるはずがない。バントで2塁に送っても
ヒットでは走者が帰ってこられない。外野を越える打球が打てなくては
外野は前に守っているのだ。高校時代に予選でベスト8やベスト4に
残ったことのある選手が勘違いし伸びなくなるのはここを勘違いする
らしい。自分の負けた相手といつも対戦しなくてはいけないのだ。

 青木先生は、六大学の審判員もやっていらっしゃる。その経験も
お話しになった。今まで一番すごかった選手は、巨人の高橋由伸
選手だという。その打撃を参考にしているそうだ。「夢の向こうに」
の講演会で高橋選手自身が話していたのと同じだった。投手では
現ソフトバンクの和田投手。球速ではなくボールのきれとマウンド
度胸。そんな経験も大きいのだろう。

 約1時間の講演のあとは質問の時間。岩手県から参加された
中学生を教えている先生やジャーナリストの方などいろいろな
質問が出た。

 
きたさん紀行
調布北高野球部
 まず、開成中・高の現状の説明があった。東大入学
全国第1位で有名な男子高。意外に学校行事は盛ん。
特に運動会は前年の10月から準備を始めて運動部の
活動が制限される。そして、運動会が終わった2年の
秋に現役を引退するという部活動が多いので成績は
なかなか期待できない。下の写真が開成高校の校地。
200名の生徒が活動するには狭い。野球部がグランド
を使えるのは週1日。これではノックや連携の練習は
できない。
 
 そして、今日のスペシャルゲストは、府中工業から中日ドラゴンズに
入団し、1年目から2軍で5試合に当番。1軍登録も経験した。
 私は初めて会うことになったが、非常にクレバーで、誠実な感じで
筋肉も柔らかそうだし、来年が楽しみだなと思った。
 1軍に登録した時のこぼれ話も聞くことができて意義ある時間だった。
高校時代の監督さんもずっとニコニコしていた。
高校野球研究会 2006
 司会は、いつものS先生。
10月に心不全(心房細動)で
1ヶ月入院されたそうだ。
 監督業は、心臓に悪いのだ。
 会場に集まった人たち。
若い先生が増えてきたことは
嬉しいことだ。
 そして、この春にエレベーター
事故で亡くなった小山台高校の
市川大輔くんの日記を監督の
福嶋先生が披露した。
 教え子を亡くしたことへの
悲しみや後悔がにじんで胸が
痛んだ。
 そのあとは、自己紹介の時間。全員が終わるには30分以上
かかる。今年私は骨折のため、懇親会に参加できないので
この時間が大切な時間となった。北高のフレッシュマンN先生も
研究会デビューした。これからもよろしく!
 最後は、幹事の皆さん。22回も続けて行くにはいろいろなご苦労が
あると思う。都立高校を甲子園を出場させようというスローガンから
始まったこの研究会。来年は懇親会にも参加したい。
 保谷高校の有馬先生が、沖縄武術の宇城憲治先生の教えを伝授
して良いといわれたという発言があった。3年間かかったそうだが一生
ものだと思う。甲子園に出場した先生がどうしたらもっと強くなれるかを
突き詰めていくとそこに達するのかなと思った。結局どう生きていくか。
というところに行き着くのだろう。
 来年の研究会も楽しみにしている。いい報告がしたい。