3人のメジャーリーガー |
先日、元メジャーリーガーと現メジャーリーガー2人のトーク番組をテレビでやっていた。同じ日だったので3人3様の人柄、野球に対する思いなどの違いを実感できて面白かった。 まずぴったんこ・カンカンという番組に今年から日本ハムに移籍した新庄剛志選手が出ていた。まさに異色の選手。新人の入団会見で「プロ野球は好きではありません」発言。初打席初本塁打のはなれわざ、突然の現役引退発言そして突然のメジャー挑戦。初打席初ヒット。3チームを渡り歩いて日本球界復帰。昨年の日本ハムのキャンプ観客が100人から1500人に大幅アップ。グッズも売れているようだ。野球以外のところでも異彩を放っている。 その新庄選手の生い立ちから今までの紹介でなんと9回も交通事故に遭っている。話を聞くとすごい事故になり命もなくなりそうなのにほとんど無傷に近い状態で済んでいる。まさに幸運の星野本に生まれてきているような人だ。その世界で成功する人は力だけではない運を持っているし、運を引き寄せるようなパワーがある。気持ちの問題でも前向きでポジティブ。これはすべての選手に共通する。高校野球に携わっている私の立場からは新庄選手のような選手は扱いにくいしつきあえない気がするが、プロ野球という世界で言えばいてもいいし魅力的な選手だと思う。今年の新庄選手の野球での活躍に期待したい。 その番組のすぐあとにイチローと松井秀喜選手の2人だけのトーク番組をやっていた。メジャーで成功している2人の違いがはっきりする番組だった。年はイチローがい1年先輩。そのためかイチローがいつになく饒舌で積極的に仕切って話をしていた。松井は淡々とあわせるように話をしていた。高校時代の話も面白かった。 打撃の話になって話は盛り上がる。昨年のイチローは4月に極度の不振。私がテレビでみていても打てる気はしなかった。その理由がすごい。ある試合で絶対に打てないインコース低めの球を完璧にヒットしてしまったことがあった。それから頭では打てないと思っても体が反応してしまい、飛んでもない球でも三振したりすることになってしまったそうだ。レベルが違いすぎる。それでも修正して3年連続200本安打達成。苦しみ抜いて達成した。 一方松井も「ゴロ製造器」のあだ名が付くほどの不振が続いた。そのときトーリ監督からもう少しホームベースに近づいたらどうだと言われその試合で本塁打を放ち、不調を脱した。そのホームベースに近づく距離がすごい。11cmも近づいたのだ。メジャーのストライクゾーンは外角はボール1個はずれていてもストライク。やはり近づく必要はあるはずだ。しかし、プロ野球選手が11cmも近づくとはとんでもない勇気がいるはず。たった数センチでも変えることは大変らしいのにすごい決断だ。松井はどちらかというと待つタイプ。じっくりボールをみてから打つ。もう少し積極的になるともっと打ちそうだがこれも打者のタイプの違いだろう。 2人の考え方の違いも面白い。たとえばマスコミとの対応もあまり好きでないイチローと毎試合淡々とインタビューに答える松井。対照的だ。イチローは松井に「無神経?」といっていたが松井なりの気のつかいかただろうし、とにかく淡々としているのがいい。イチローはやはり野球道・打撃道を追求するタイプに見える。スピードスケートの清水選手などもそうだ。自分自身をどんどん追い込み道を突き進んでいく。道を究めていく感じがする。松井選手は、淡々と今目の前にある自分のしたいことを確実に成し遂げていく感じ。 どちらにしても日本を代表する打者の二人。この番組を見ていても究極的には、常に前を向いて自分の道を進んでいる。ポジティブに物事をとらえることができ、しかも自分のやるべきことがわかっていてしかも実行できる。これが成功する人なのだろうと感じた。 数日後、朝日新聞にこの対談をみたフリーライターの方が先輩ヅラするイチローをやや批判的に書いていたが私は面白くいつにない饒舌なイチローといつものように淡々とする松井の対照的な二人の会話を満喫した気がする。 今年も2人のメジャーリーガーから目が離せない。しかもことしはリトル松井も参戦。本当に楽しみなMLBになりそうだ! (2004.02.09)
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